日本のコーヒー豆輸入量 国別ランキングTOP20:世界のコーヒー産地と日本の関係

  1. はじめに
  2. 日本のコーヒー豆輸入の全体像
    1. 輸入量の推移
    2. 輸入先の多様化
  3. 国別輸入量ランキングTOP20(2024年)
    1. 第1位:ブラジル(約14万トン、シェア約30%)
    2. 第2位:ベトナム(約8万トン、シェア約17%)
    3. 第3位:コロンビア(約5万トン、シェア約11%)
    4. 第4位:グアテマラ(約2.5万トン、シェア約5%)
    5. 第5位:インドネシア(約2万トン、シェア約4%)
    6. 第6位:ホンジュラス(約1.8万トン、シェア約4%)
    7. 第7位:ペルー(約1.5万トン、シェア約3%)
    8. 第8位:エチオピア(約1.2万トン、シェア約2.5%)
    9. 第9位:メキシコ(約1万トン、シェア約2%)
    10. 第10位:タンザニア(約8,000トン、シェア約1.7%)
    11. 第11位:インド(約7,000トン、シェア約1.5%)
    12. 第12位:エルサルバドル(約6,000トン、シェア約1.3%)
    13. 第13位:ニカラグア(約5,500トン、シェア約1.2%)
    14. 第14位:パプアニューギニア(約5,000トン、シェア約1%)
    15. 第15位:ウガンダ(約4,500トン、シェア約1%)
    16. 第16位:コスタリカ(約4,000トン、シェア約0.8%)
    17. 第17位:ケニア(約3,500トン、シェア約0.7%)
    18. 第18位:ラオス(約3,000トン、シェア約0.6%)
    19. 第19位:ルワンダ(約2,500トン、シェア約0.5%)
    20. 第20位:カメルーン(約2,000トン、シェア約0.4%)
  4. 日本のコーヒー豆輸入の戦略的意義
    1. リスク分散の重要性
    2. 品質と価格のバランス
    3. サステナビリティへの配慮
  5. コーヒー輸入を取り巻く課題
    1. 気候変動の影響
    2. 価格の変動
    3. 持続可能な調達
  6. まとめ:多様性が支える日本のコーヒー文化

はじめに

日本は世界有数のコーヒー消費国であり、年間約47万トンものコーヒー生豆を輸入しています。コーヒー豆は日本では栽培できないため、すべて海外からの輸入に依存しているのが実情です。今回は、全日本コーヒー協会のデータをもとに、日本のコーヒー豆輸入量の国別ランキングTOP20を詳しく解説し、それぞれの国の特徴や日本との関係について掘り下げていきます。

日本のコーヒー豆輸入の全体像

輸入量の推移

日本のコーヒー生豆輸入量は、2024年に約47万トンに達し、これは世界第4位の規模です。過去20年間で見ると、日本の輸入量は緩やかな増加傾向にあり、コーヒー文化の定着とともに安定した需要が続いています。

1990年代には30万トン台だった輸入量が、2000年代に入って40万トンを超え、現在では47万トンという規模にまで成長しています。これは日本人一人当たり年間約3.7kgのコーヒー豆を消費していることになります。

輸入先の多様化

日本のコーヒー豆輸入の特徴は、輸入先が非常に多様であることです。上位20カ国で輸入量の大部分を占めますが、特定の国に過度に依存しない分散投資的な調達を行っています。これにより、特定地域での不作や政治的リスクに対する耐性を高めています。

国別輸入量ランキングTOP20(2024年)

それでは、最新のデータに基づく国別ランキングを見ていきましょう。

第1位:ブラジル(約14万トン、シェア約30%)

圧倒的な第1位はブラジルです。日本のコーヒー豆輸入の約30%をブラジルが占めており、その安定した供給能力が評価されています。

ブラジルコーヒーの特徴 ブラジルは世界最大のコーヒー生産国であり、年間300万トン以上を生産しています。主にアラビカ種を栽培しており、ナッツのような風味とマイルドな酸味が特徴です。標高が比較的低い地域での栽培が多く、大規模なプランテーション方式により、コストパフォーマンスの高い豆を大量に供給できるのが強みです。

日本企業も多くがブラジルに焙煎工場や品質管理拠点を設けており、長年にわたる信頼関係が築かれています。ブレンド用のベースとして使用されることが多く、日本のコーヒー文化を支える重要な存在です。

第2位:ベトナム(約8万トン、シェア約17%)

第2位はベトナムです。近年急速にシェアを伸ばし、日本にとって重要な輸入先となっています。

ベトナムコーヒーの特徴 ベトナムは世界第2位のコーヒー生産国ですが、その約97%がロブスタ種です。ロブスタ種は苦味が強く、カフェイン含有量も多いため、主にインスタントコーヒーやブレンド用に使用されます。

価格が安価で安定供給が可能なことから、日本の大手コーヒーメーカーがインスタントコーヒー製造のために大量に輸入しています。ベトナム戦争後、政府主導でコーヒー栽培を奨励した結果、1990年代から生産量が急増し、現在では日本の重要なロブスタ種供給国となっています。

第3位:コロンビア(約5万トン、シェア約11%)

第3位はコロンビアです。高品質なアラビカ種の生産国として知られています。

コロンビアコーヒーの特徴 コロンビアはマイルドコーヒーの代表格として世界的に有名です。アンデス山脈の傾斜地で栽培されるコーヒーは、標高1,200〜1,800mの理想的な環境で育ち、豊かな酸味とフルーティーな香りが特徴です。

「フアン・バルデス」という架空のキャラクターを使ったマーケティングで、コロンビアコーヒーのブランド価値を確立しました。日本でも「エメラルドマウンテン」など、コロンビア産のプレミアムコーヒーが高い評価を得ています。

第4位:グアテマラ(約2.5万トン、シェア約5%)

第4位はグアテマラです。中米を代表するコーヒー生産国の一つです。

グアテマラコーヒーの特徴 グアテマラは8つの異なるコーヒー産地を持ち、それぞれが独特の風味を生み出しています。特に有名なのがアンティグア地域で、火山灰土壌で育つコーヒーは、チョコレートのような風味とスパイシーな香りが特徴です。

標高1,300〜2,000mの高地で栽培されるハードビーン(HB)やストリクトリーハードビーン(SHB)は、日本のスペシャルティコーヒー市場で高く評価されています。

第5位:インドネシア(約2万トン、シェア約4%)

第5位はインドネシアです。アジアを代表するコーヒー生産国です。

インドネシアコーヒーの特徴 インドネシアはアラビカ種とロブスタ種の両方を生産しています。スマトラ島で生産されるマンデリンは、独特の「スマトラ式」と呼ばれる精製方法により、重厚でハーブのような風味が特徴です。

また、世界で最も高価なコーヒーの一つである「コピ・ルアク」の産地としても知られています。近年は、スペシャルティコーヒーの生産にも力を入れており、高品質なアラビカ種の輸出が増加しています。

第6位:ホンジュラス(約1.8万トン、シェア約4%)

第6位はホンジュラスです。中米の新興コーヒー生産国として注目されています。

ホンジュラスコーヒーの特徴 ホンジュラスは2011年に中米最大のコーヒー生産国となり、近年急速に生産量を伸ばしています。標高1,000〜1,700mの高地で栽培されるコーヒーは、バランスの取れた味わいで、酸味と甘みのハーモニーが楽しめます。

価格競争力があり、品質も安定していることから、日本の輸入量も増加傾向にあります。

第7位:ペルー(約1.5万トン、シェア約3%)

第7位はペルーです。南米の高品質コーヒー生産国として定評があります。

ペルーコーヒーの特徴 ペルーはオーガニックコーヒーの生産で世界をリードしており、日本向けにも多くの有機認証コーヒーを輸出しています。アンデス山脈の東側斜面で栽培されるコーヒーは、マイルドな酸味と滑らかな口当たりが特徴です。

近年、フェアトレードコーヒーの産地としても注目されており、日本の環境意識の高い消費者からの需要が高まっています。

第8位:エチオピア(約1.2万トン、シェア約2.5%)

第8位はエチオピアです。コーヒー発祥の地として知られています。

エチオピアコーヒーの特徴 エチオピアは「コーヒーの故郷」と呼ばれ、野生のコーヒーノキが自生しています。イルガチェフェ、シダモ、ハラーといった有名な産地があり、それぞれが独特のフローラルな香りとフルーティーな味わいを持っています。

天日乾燥による伝統的なナチュラル製法で処理されることが多く、ワインのような複雑な風味が特徴です。日本のスペシャルティコーヒーショップでも人気の高い産地です。

第9位:メキシコ(約1万トン、シェア約2%)

第9位はメキシコです。北米大陸のコーヒー生産国として重要な位置を占めています。

メキシココーヒーの特徴 メキシコは小規模農家が多く、標高900〜1,700mの高地で栽培されるコーヒーは、ナッツのような風味と穏やかな酸味が特徴です。オアハカ州やチアパス州が主要な産地となっています。

有機栽培やシェードグロウン(木陰栽培)が盛んで、環境に配慮したコーヒー生産を行っています。日本への輸出は安定しており、ブレンド用としても使用されています。

第10位:タンザニア(約8,000トン、シェア約1.7%)

第10位はタンザニアです。アフリカ東部を代表するコーヒー生産国です。

タンザニアコーヒーの特徴 タンザニアのキリマンジャロコーヒーは、日本でも非常に有名です。キリマンジャロ山の裾野で栽培されるコーヒーは、鮮やかな酸味と強いコク、ワインのような風味が特徴です。

AA、AB、Cなどのグレード分けが明確で、特にAAグレードは高品質として世界中で評価されています。日本ではストレートコーヒーとして人気が高く、喫茶店の定番メニューとなっています。

第11位:インド(約7,000トン、シェア約1.5%)

第11位はインドです。アジアの伝統的なコーヒー生産国です。

インドコーヒーの特徴 インドは17世紀からコーヒー栽培の歴史があり、特にカルナータカ州やケララ州が主要な産地です。「モンスーンコーヒー」という独特の製法で知られ、モンスーンの湿気にさらすことで、マイルドで独特の風味を生み出します。

また、アラビカ種とロブスタ種を交配した「アラブスタ」という品種の開発国でもあります。

第12位:エルサルバドル(約6,000トン、シェア約1.3%)

第12位はエルサルバドルです。中米の小さな国ながら、高品質なコーヒーを生産しています。

エルサルバドルコーヒーの特徴 エルサルバドルは国土のほとんどが火山性土壌で、標高1,200〜1,800mの高地で栽培されるコーヒーは、甘みとバランスの取れた酸味が特徴です。ブルボン種やパカマラ種といった伝統的な品種の栽培にこだわっています。

近年、カップ・オブ・エクセレンスなどの国際コンテストでも高評価を得ており、スペシャルティコーヒー市場で注目されています。

第13位:ニカラグア(約5,500トン、シェア約1.2%)

第13位はニカラグアです。中米の新興コーヒー生産国として成長しています。

ニカラグアコーヒーの特徴 ニカラグアのコーヒーは、チョコレートのような風味とフルーティーな酸味が特徴です。主要産地のマタガルパやヒノテガは、標高1,000〜1,500mの高地に位置しています。

品質向上に力を入れており、スペシャルティコーヒー市場での存在感を高めています。

第14位:パプアニューギニア(約5,000トン、シェア約1%)

第14位はパプアニューギニアです。オセアニア地域を代表するコーヒー生産国です。

パプアニューギニアコーヒーの特徴 高地で栽培されるコーヒーは、フルーティーで複雑な風味が特徴です。小規模農家が多く、伝統的な栽培方法を守っています。日本ではストレートコーヒーとして人気があります。

第15位:ウガンダ(約4,500トン、シェア約1%)

第15位はウガンダです。アフリカのロブスタ種生産国として重要です。

ウガンダコーヒーの特徴 ウガンダは主にロブスタ種を生産していますが、近年はアラビカ種の生産も増加しています。ロブスタ種は力強い苦味があり、インスタントコーヒーやエスプレッソブレンドに使用されます。

第16位:コスタリカ(約4,000トン、シェア約0.8%)

第16位はコスタリカです。中米の高品質コーヒー生産国として有名です。

コスタリカコーヒーの特徴 コスタリカは法律でロブスタ種の栽培を禁止しており、100%アラビカ種のみを生産しています。タラス地方やセントラルバレーで栽培されるコーヒーは、明るい酸味とクリーンな味わいが特徴です。

ハニープロセスという独特の精製方法も有名で、スペシャルティコーヒー市場で高く評価されています。

第17位:ケニア(約3,500トン、シェア約0.7%)

第17位はケニアです。アフリカの高品質コーヒー生産国です。

ケニアコーヒーの特徴 ケニアコーヒーは鮮烈な酸味とベリーのような風味が特徴で、世界中のコーヒー愛好家から高い評価を得ています。AAグレードのコーヒーは特に品質が高く、オークション形式で取引されます。

第18位:ラオス(約3,000トン、シェア約0.6%)

第18位はラオスです。東南アジアの新興コーヒー生産国です。

ラオスコーヒーの特徴 ラオスは主にロブスタ種を生産していますが、近年はアラビカ種の栽培も増加しています。ボラベン高原が主要な産地で、価格競争力のあるコーヒーを供給しています。

第19位:ルワンダ(約2,500トン、シェア約0.5%)

第19位はルワンダです。アフリカの新興スペシャルティコーヒー生産国です。

ルワンダコーヒーの特徴 ルワンダは1994年の内戦後、コーヒー産業の再建に力を入れており、高品質なスペシャルティコーヒーの生産国として注目されています。フルーティーで複雑な風味が特徴です。

第20位:カメルーン(約2,000トン、シェア約0.4%)

第20位はカメルーンです。西アフリカのコーヒー生産国です。

カメルーンコーヒーの特徴 カメルーンはアラビカ種とロブスタ種の両方を生産しています。ロブスタ種が主流ですが、火山性土壌で栽培されるアラビカ種も独特の風味を持っています。

日本のコーヒー豆輸入の戦略的意義

リスク分散の重要性

日本が20カ国以上から輸入している理由は、供給リスクの分散にあります。気候変動、政治的不安定、病害虫の発生など、単一国に依存すると大きなリスクを抱えることになります。

品質と価格のバランス

ブラジルやベトナムからの大量輸入で価格競争力を確保しつつ、エチオピアやコスタリカなどの高品質な豆も輸入することで、多様な消費者ニーズに応えています。

サステナビリティへの配慮

近年、日本の輸入業者は、フェアトレードやオーガニック認証を受けたコーヒーの輸入を増やしています。ペルー、メキシコ、ルワンダなどからの輸入増加は、この傾向を反映しています。

コーヒー輸入を取り巻く課題

気候変動の影響

地球温暖化により、従来のコーヒー栽培適地が変化しつつあります。2050年までに現在のコーヒー栽培地の50%が不適になるという予測もあり、長期的な供給確保が課題となっています。

価格の変動

国際コーヒー相場は天候や投機資金の動きにより大きく変動します。2021年から2022年にかけては、ブラジルの霜害や干ばつにより、価格が大幅に上昇しました。

持続可能な調達

コーヒー農家の多くは小規模で、貧困に苦しんでいます。持続可能なコーヒー産業のためには、適正な価格での取引と生産者支援が不可欠です。

まとめ:多様性が支える日本のコーヒー文化

日本のコーヒー豆輸入は、ブラジルとベトナムが全体の約半分を占める一方で、20カ国以上から多様な豆を輸入するという、バランスの取れた戦略を採っています。

この多様性こそが、日本の豊かなコーヒー文化を支えています。低価格の缶コーヒーから、高級スペシャルティコーヒーまで、様々な選択肢が存在するのは、世界中から様々なグレードのコーヒー豆を輸入しているからこそです。

今後、気候変動やサステナビリティの課題に直面する中で、日本のコーヒー業界がどのように輸入戦略を進化させていくのか、注目していく必要があるでしょう。私たちが毎日楽しむコーヒー1杯の背景には、世界中のコーヒー生産者と日本の輸入業者の努力があることを忘れてはなりません。

コーヒー知識
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