はじめに
コーヒー焙煎の世界では、焙煎プロファイルログを残すことが非常に重要です。最近ではデジタルツールを使った温度管理やグラフ化も一般的になっていますが、あえて「手書き」で記録を続けるロースターも少なくありません。
では、なぜ今でも手書きでのログ記入が重視されるのでしょうか?
本記事では、手書きで焙煎ログを残す意味・メリット・記録方法・活用術を解説します。
手書きの焙煎ログとは?
手書きの焙煎ログとは、焙煎中の温度や時間、操作、感覚的な気づきを紙のノートやログシートに書き残す方法です。
記録される内容は次のようなものです:
- 投入温度(豆を焙煎機に入れたときの温度)
- ターニングポイントの時刻
- 1ハゼ・2ハゼの開始タイミングと温度
- 火力やダンパー操作のタイミング
- 焙煎終了(ドロップ)温度と時間
- 焙煎後のカッピング評価
- 自分の感覚(香りの変化、豆の色、音の印象など)
デジタルログでは数値やグラフが中心になりますが、手書きでは数値+感覚的な要素まで一緒に残せるのが特徴です。
手書きで焙煎ログを記入する意味
1. 感覚とデータを結びつけられる
焙煎は「温度管理」という科学的側面と、「香り・音・色」を頼りにする職人的側面の両方があります。
手書きでログを残すと、焙煎中の感覚をその場でメモできるため、データと五感の記憶をリンクさせやすいのです。
例:
- 「1ハゼが思ったより小さな音だった → 湿度の影響かも」
- 「200℃で甘い香りが立ち始めた → 次回は火力を抑える」
こうした「気づきの積み重ね」が、焙煎技術の向上につながります。
2. 記憶の定着と学びが深まる
人は「書く」ことで記憶が強化されます。
デジタルで自動記録された数値を見るだけでは流れてしまう情報も、手で書き写すことで頭に残りやすくなります。
特に焙煎を学び始めた初心者にとっては、手書きログが最高の学習ツールになります。
3. 柔軟に書き足せる
手書きなら、数値だけでなく自由にコメントを書き込めます。
- 「火力を上げたら豆の色が一気に変わった」
- 「2ハゼが出る前に酸味が飛んだ感じ」
- 「次回は投入温度を2℃下げてみたい」
といった細かいメモが、次回の改善に役立ちます。
デジタルでは残しにくい 感覚的な表現 こそ、手書きログの価値です。
4. 過去の記録を一覧で見返せる
ノートに積み重ねた焙煎ログは、自分だけの「焙煎日誌」になります。
パラパラとページをめくるだけで、過去の焙煎データとメモを一気に振り返ることができます。
これは検索性に優れたデジタルとは違った魅力で、経験の積み重ねを“目で見える形”にできるのが大きなメリットです。
手書きログに記録すべき項目
基本データ
- 焙煎日・担当者
- 生豆の品種・産地・精製方法
- 生豆の水分値・スクリーンサイズ
焙煎プロセス
- 投入温度
- ターニングポイント(時刻・温度)
- 1ハゼ・2ハゼの発生タイミング
- ドロップ温度と焙煎時間
感覚メモ
- 香りや音の変化
- 豆の色の印象
- 焙煎時に感じた違和感
評価
- 焙煎後のカッピング結果
- 味の強みと改善点
- 次回への改善提案
手書きログを活用するコツ
1. 専用のフォーマットを使用する
白紙のノートでもいいですが、焙煎ログシートを使うと効率的です。
DEEPER COFFEEのプロファイルログは下記からダウンロードできます。エクセルシートですので、自分が使いやすいように変更してお使いください。
2. 時間ごとの温度をプロットする
焙煎中に「30秒ごと」「1分ごと」に豆温を記録し、折れ線グラフを描いておくと、温度の上がり方が一目でわかります。
3. カッピングとリンクさせる
焙煎後は必ずカッピングを行い、ログに味の評価を書き込みます。
「プロファイル」と「風味評価」をセットで残すことで、数値と味の関係が見える化します。
4. 定期的に見直す
一定期間ごとにログをまとめて見返すと、焙煎の傾向や改善点が明確になります。
「この豆は常に開発率が高すぎて苦味が出ている」など、長期的なパターンを発見できます。
手書きログの弱点と対策
もちろん手書きログにも弱点があります。
- 温度や時間を正確に残しにくい
- データ比較や検索がしにくい
- 長期保存でノートがかさばる
これを補う方法として、手書き+写真の活用がおすすめです。
ノートに記録したログをスマホで撮影し、クラウドに保存すれば、検索性と保存性も確保できます。
まとめ|手書きログは“自分の焙煎の教科書”になる
- 手書きの焙煎ログは 感覚とデータをつなぐ架け橋
- 記憶が定着しやすく、初心者の学習にも最適
- 感覚的なコメントを自由に残せる
- 過去の記録を「日誌」として蓄積できる
デジタルログが便利なのは間違いありません。しかし、手書きだからこそ得られる「気づき」と「学び」があり、それが焙煎技術を底上げします。
焙煎を始めたばかりの方も、プロとして経験を積んでいる方も、自分だけの焙煎ノートを今日から書き始めてみませんか?
それはきっと、未来の自分にとって最高の教科書になります。



コメント